飲食店のインバウンド対策というと、「英語メニューを作る」「英語ホームページを用意する」「SNSを始める」といった施策が先に浮かびがちです。しかし、売上を左右するのは施策の数ではありません。外国人旅行者が店を知り、比較し、「ここなら入れそうだ」と判断し、予約または来店し、実際に注文するまでの流れがつながっているかどうかです。
原因1|Google Mapsに「選ぶための情報」が足りない
Google Mapsに店舗が登録されていることと、外国人旅行者に選ばれることは別です。旅行者が店を比較するときに必要なのは、店名と住所だけではありません。どんな料理の店なのか、看板商品は何か、価格帯はどの程度か、予約できるのか、営業時間は正しいか、写真から雰囲気が分かるか。こうした情報が不足していると、候補には入っても最終的に別の店が選ばれます。
特に飲食店では、Google Mapsは「地図」ではなく、外国人旅行者が店を比較するための簡易的な店舗ページとして機能します。検索に表示されているだけで安心せず、旅行者の視点で見たときに判断材料が揃っているかを確認する必要があります。
原因2|「この店に入って大丈夫」と判断できない
日本人にとって当たり前の飲食店利用でも、海外から来た旅行者にとっては小さな不安が積み重なります。英語メニューはあるのか。予約なしでも入れるのか。注文はテーブルか券売機か。クレジットカードは使えるのか。コースは一人でも頼めるのか。サービス料や席料はあるのか。
一つひとつは些細な情報ですが、分からない状態が続くと、旅行者は「もう少し分かりやすい店」を選びます。つまり競合店との違いは、料理の魅力だけではなく、利用する前の不安をどこまで減らせているかにもあります。
原因3|予約・来店までの導線が複雑
Google Mapsで興味を持ってもらえても、その次の行動が分からなければ来店にはつながりません。店舗サイトを開いたら日本語だけ、予約ボタンを押したら日本語のフォーム、最終的には電話予約のみ――という流れでは、せっかくの興味が途中で失われます。
Google Maps
料理・価格・特徴
利用方法・対応情報
予約・来店
注文・再評価
重要なのは、「見つけてもらうこと」と「来てもらうこと」を分けて考えることです。Google Mapsから予約、あるいは当日の来店判断まで、迷わず進める状態になっているかを一つの導線として確認します。
原因4|英語メニューが「翻訳」で終わっている
料理名を英語に置き換えただけでは、注文のハードルが十分に下がらないことがあります。たとえば日本人には「鶏のたたき」「お通し」「だし巻き」と書けばイメージできても、文化的な前提がない旅行者には、それだけでは料理の内容が伝わりません。
本当に必要なのは、料理名だけではなく、主な食材、味や調理法、量のイメージ、食べ方、価格、必要に応じてアレルギーや食事制限に関する情報まで含めて、注文を決められる情報にすることです。
原因5|インバウンド施策が「点」で終わっている
英語メニューを作った。Google Mapsを更新した。Instagramに英語投稿をした。それぞれは正しい施策でも、互いにつながっていなければ売上への効果は限定的です。
理想は、Google Mapsで店を知り、写真と説明で魅力を理解し、メニューと価格で利用イメージを持ち、必要ならそのまま予約し、現地でも迷わず入店・注文できる状態です。施策を増やすのではなく、Discovery → Consideration → Visit → Order → Reviewまでを一つの流れとして設計することが重要です。
全部を作り直す必要はない。優先順位が重要
ここまで読むと、「Google Mapsも、メニューも、予約も、ホームページも全部直さなければ」と感じるかもしれません。しかし、最初からすべてを作り直す必要はありません。店舗によって一番大きなボトルネックは違います。
- Google Mapsの情報が弱い店:まず店舗情報・写真・英語情報を整える
- 閲覧はあるが来店につながらない店:メニュー・価格・予約導線を確認する
- 来店はあるが注文単価が伸びない店:メニューの説明やおすすめの見せ方を見直す
- 複数の施策をしている店:各施策が一つの来店導線としてつながっているかを見る
インバウンド対策で大切なのは、「何を新しく作るか」から始めないことです。今すでにある外国人需要を、どの段階で取りこぼしているのか。その場所を見つけ、売上に近いところから改善する。この順番に変えるだけで、投資すべき施策はかなり明確になります。
外国人旅行者が「見つける」から「来店する」までの導線を、一度見直してみませんか。
PGPでは、Google Maps上の情報、英語での店舗・メニュー情報、予約・来店導線などを確認し、店舗ごとに優先順位を整理したうえで改善を支援します。最初から大きく作り直すのではなく、売上につながる可能性の高いポイントから着手します。
インバウンド集客について相談する →※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際に優先すべき施策は、店舗の立地、客単価、予約比率、既存のGoogle Maps・Web・メニューの状況等によって異なります。