【30代未経験】USCPAが監査法人に転職して1年半が経ちました

Audit Firm

  

現在USCPAの取得を目指して学習中です。合格したら監査法人に転職できる可能性があるみたいで、給料や働く環境も良いって聞くし興味があるな。でも、日本の公認会計士が多い環境でUSCPAが未経験から働くとなると、やっぱりすごく大変じゃないの?

  

パラゴン
パラゴン

僕はUSCPAを取得して未経験から監査法人に転職しました。転職から1年半ほど経った今、あの時試験を乗りこえて監査法人に転職して本当によかったと思っています。未経験の職種への転職は勇気のいることですが、飛び込んだことで人生が変わったと思います。USCPAの立場から、監査法人で働くメリット・デメリットをできるだけリアルに共有するので、これからUSCPAを取得→転職を目指している人の参考にしてもらえると嬉しいです

  

✔︎この記事の内容

  • 監査法人での仕事内容とは?
  • USCPAが監査法人で働くメリット・デメリット
  • 未経験のUSCPAが監査法人で1年半働いたリアルな感想

 

本記事のコンセプト:30代未経験からUSCPAを取得・監査法人へ転職し1年半ほど勤務した筆者が、USCPAの立場から監査法人で働くメリットや職場環境などの情報をできるだけリアルに共有する。USCPAの取得や監査法人への転職に興味のある読者は、自分にとってそれがベストな選択なのかを検討することができるので今後のキャリア形成に役立てることができる。

  

✔︎筆者のプロフィール

会計・経理の知識ゼロからオーストラリアの大学院で会計学を選考。卒業後は現地での就労を経験し日本へ帰国。大学院で学んだ知識と取得単位を活用し、8ヶ月の独学でUSCPA試験に全科目一発合格。ワシントン州ライセンス取得。相互認証制度を利用し、オーストラリア公認会計士(CPA)を取得。現在監査法人にて勤務、USCPAと英語をフルに活かしたキャリア形成を図る傍ら、ブログ・TwitterにてUSCPA関連の情報を発信中。

  

パラゴン
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TwitterでもUSCPA/海外での独立や関連する有益な情報発信を頑張っています。良かったらそちらもチェックしてみてください!

Twitter ➡️➡️➡️ パラゴン@USCPA→海外で独立に挑戦中

  

監査法人での仕事内容とは?

監査法人での会計士の役割は公認会計士法第一条に書かれています。

第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

https://jicpa.or.jp/cpainfo/introduction/about/vocation/

難しい日本語で書かれていますが、要するにBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)などの企業が公表している情報が信頼できるものであることを会計のプロの立場からチェックする仕事です。

会社の内部・外部から様々な情報や証拠を集め、会社が財務諸表で主張している事項が妥当であると言えるかを検証し、監査調書を作成します。(例えば売掛金が本当に存在し、適正な金額で表示されているか等)

上記の監査調書をもとに、担当責任者が監査意見を表明し、監査報告書が発行されることになります。公認会計士により正式に監査された財務諸表であることが担保されるので、投資家や債権者はその情報を信頼し、意思決定ができるようになります。国の経済を日々動かしている企業や投資家の判断を左右することになるので、大きな責任のある仕事だと言えますね。その分、社会への貢献度も大きくやりがいのある仕事です。

 

USCPAが監査法人で働くメリット・デメリット

監査法人での仕事は、責任が大きくやりがいのある仕事であることを紹介してきました。そんな職業なので、大変ではありますがプロとして成長するにはとても良い環境であるといえます。

監査法人の最大の特徴として、働く人の大半を占めるのは日本公認会計士、もしくはその試験合格者です。日本の会計士試験に受かったらまずは監査法人、これは業界の常識なのです。

多くの人が知っているとおり、日本公認会計士試験は国内の3大難関資格の1つであると言われるほど難しく、監査法人はそんな試験を突破した会計エリート集団、ある意味オタクの集団とも言えるもので、共通の知識・価値観を持ったある種の村人思想のある環境だと思います。そのようなクローズドな業界である監査法人は、難関試験を突破した彼らにとってキャリアの最適解であると言えると思います。

他方、監査法人勤務のUSCPAの多くは様々なバックグラウンドの職歴を持つ転職組なので、いろんな人がいます。

経理、営業、IT系、サービス業、元大工の人も会ったことがあります。会社の規模も東証プライム市場の上場企業から小規模な個人事業、海外勤務など様々です。

そんなUSCPAたちが、あえて転職して監査法人で働くのにはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

メリット①:会計のプロになれる

監査とは、簡単にいうと企業が作成した財務諸表が適切に作成されているかを確認する仕事なので、当然ながら会計知識は必須です。

試験で学習する仕訳等のような会計処理はもちろん、会計基準や会社法の知識を適切に理解し、監査調書を作成したりクライアントに説明できる能力が求められます。

当然、そんな難しいことは最初はできません。現場で経験を積みながら、少しずつ学んでいきます。

会計知識は、どんな業界に転職しても活かすことができる非常に汎用性の高いスキルです。USCPAの試験勉強だけでは会計知識を十分に学習できないケースが多いので、働きながらプロの水準で会計知識を学べるのは監査法人で働くことの大きな魅力だと言えるでしょう。

メリット②:転職市場での価値が飛躍的にアップ

メリット①とも関連しますが、プロとしての会計知識・監査経験を身につけると転職でかなり有利になります。

他の監査法人への転職はもちろん、経理関係、内部監査、税務など他業種での求人も多々見られるでしょう。

特に監査経験3年以上となると、コンサルやベンチャー企業のCFO等といった高年収、いわゆるハイスペック求人への転職も可能になります。

監査法人を経験する前と数年経験した後を比較すると、応募できる求人の選択肢がかなり増えていることに気づくでしょう。

これまで応募すらできなかったような求人への転職が可能になる。監査法人で働くことで、ビジネスパーソンとしてのレベルを飛躍的に向上することができます。

メリット③:会計士の人脈ができる

監査法人で働く人のほとんどは、日本もしくは米国の公認会計士です。

監査法人に勤務することで、自然と彼らとの人脈を作ることができます。

難関試験をクリアし、会計士として働いている人たちはみんな優秀なので、将来多くの人が様々な業界で出世したり、独立したりと成功していくケースが多いと思います。

例えば数年後、監査法人に戻りたいと思えば紹介してくれる元同僚がいたり、独立して起業する際に税理士を紹介してもらえたりと、この業界で人脈を作っておくと良いことだらけです。

上記のような将来有望な人たちとの人間関係を構築できるのも監査法人で働く魅力の1つでしょう。

デメリット①:最初は知識不足でキツい

上述したように、監査法人での業務は日本の公認会計士試験合格が前提のレベルとなっているため、基本的な会計知識がないと話にもついていけません。担当する仕事によっては非常に高度なレベルを求められることもあります。

米国では、会計士は実務経験を積みながら知識を養っていくスタンスであるため、試験内容も広く浅くの知識が試される内容となっています。

一方、日本では受験時に会計についてしっかり学習します。テキストを見てみるとわかりますが、USCPAのFARと日本公認会計士試験の財務会計論では、比較にならないぐらい難易度に差があります。

どちらが良い・悪いというわけではなく、ここで伝えたいのは、試験合格時のUSCPAは監査法人で前提とされている知識を持っていない(学習していないので当然)ので、これまで以上に努力する覚悟がないと監査法人で活躍するのは難しいでしょう。目安として1年ぐらい頑張れたらかなり成長できますし、だいぶ楽になります。

レベルについていけなくて辛く、挫折してしまう可能性があるのはデメリットかもしれません。

デメリット2:監査スキルがキャリア形成に活きるとは限らない

上述のとおり、監査は企業の財務情報が正しいことを検証する仕事ですが、スキルとしてはかなり専門的です。

不正や虚偽表示リスクに気づき、その特性に基づいて監査計画を策定し実行する。この仕事を通じて専門家として学べることは非常に多く、加速的に成長できる環境だと思います。もちろん、ハイレベルな会計知識やコミュニケーションスキルなど、監査を通じて得られる能力には汎用性の高いものもあります。

しかし、上述の「監査スキル」そのものでいえば、活用できる職種は限定されるかもしれません。

日本の会計士であれば、監査一本でやっていくという選択をする人も多くいますが、USCPAではそれほどあるケースではありません。ほとんどの人が一定の経験を積んだ後、監査法人以外に転職していきます。

転職先がコンサルや経理、内部監査などの関連職種であれば培った監査経験を十分に活かせると思いますが、全く関係ない職種へ転職していく人も多く見てきました。もともとUSCPAは様々なバックグラウンドから転職してくるので、進む方向性もそれぞれです。自身が進みたい方向で監査経験は生かせるのかを検討したうえで監査法人へ転職しないと、せっかく数年かけて身につけたスキルが活かせないかもしれません。それはすごくもったいないことだと思います。

1年経過編では、監査法人の職場環境や1年経過時点のレベル感などを書きましたので、良かったらそちらも読んでみてください!

【30代未経験】USCPAが監査法人へ転職【1年経過編】

  

未経験のUSCPAが監査法人で1年半働いたリアルな感想

さて、本記事のメインテーマであります「未経験のUSCPAが監査法人で1年半働いたリアルな感想」を共有したいと思います。1年経過時からこの半年間で変わったことは、「主査(インチャージ)を経験したこと」になります。

インチャージとは、監査チームの実務責任者のことであり、要はリーダーとしてチーム全体の業務を管理する立場です。

一スタッフとして作業するのと、インチャージとしてチーム全体の管理するのでは同じ職場でも全然違う景色になります。今回はそういった前提を踏まえて感想を書いていこうと思います。

パラゴン
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完全に個人の主観なので、参考程度に読んでもらえると嬉しいです。

職場環境

これまでも紹介してきたように、日本のサラリーマンという枠組みで考えると、監査法人の職場環境は非常に良いと思います。この感想はこれまでと変わりません。

  • 基本的に定時あがり
  • 有給消化率100%
  • パワハラ的な空気なし
  • 無駄な気を使う必要がない
  • リモートも多く時間の使い方に裁量がある

ただし、自分がインチャージを務めるクライアントの期末監査の時期の業務量は非常に多く、一時的にブラック化したので、体力的にはちょっとキツかったのが本音です。

とはいえ、総じて働きやすい環境だと思います。

会計知識・監査経験値

会計知識と監査経験値に関しては、インチャージを経験することで飛躍的に向上したと感じます。

これまで他の誰かが考えてくれていたことを自分で解決しなくてはならないので、必死に調べたり勉強します。また、クライアントとの調整を自分がメインでやったり、チームメンバーの業務配分や進捗管理など、マネジメント能力もかなり向上できました。これも大事な監査スキルであり、一度経験することで自信にもなりました。

業務量やプレッシャーで大変な分、大きな成長が得られたことには非常に満足しています。キツいだけだはなく、困難な仕事を乗り越えた先にちゃんと成長や評価という見返りを感じやすいのは、監査法人という職場のとても気に入っているところです。

英語の使用度

入社1年ぐらいまでは日本語:英語の割合は半々ぐらいでしたが、1年を過ぎた頃から英語の業務が増えました。

これは日本語の業務が減ったわけではなく、仕事に慣れてこなせる業務量が増えたのでプラスで英語ジョブが入ってくるようになりました。

「給料は変わらないのに仕事量が増えて嫌じゃないのか?」という意見もあるかと思いますが、僕はお金の為というよりは経験のために監査法人で働いているので、自分にとってプラスになると思える仕事なら追加でもらえるのは全然OKです。むしろ好きな英語の仕事なら尚更です。

このように、希望すれば自分のやりたい仕事を割り振ってもらえる環境は、自分が経験したい専門性を伸ばしやすいのでとても良い環境だと感じています。

  

まとめ

未経験からUSCPAを取得をきっかけに監査法人へ転職し、1年半が経ちました。

今の感想をまとめると、USCPA試験に合格できて、監査法人に転職できて本当に良かった!と思っています。半年前に書いた「1年経過編」でも同じような感想を書いていますが、会計士としてさらにいろんな経験ができた今の方が確実にそう思っています。今後2年、3年と経験を積んでいった時に、今より少しでも世界に貢献できる会計士になれていることを目指して今後もキャリア形成を楽しんでいこうと思います。

本記事がUSCPAや監査法人に興味のある人の参考になれば嬉しいです!

  

パラゴン
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ここまで読んでくれてありがとうございます!

TwitterでもUSCPA/海外での独立や関連する有益な情報発信を頑張っています。良かったらそちらもチェックしてみてください!

Twitter ➡️➡️➡️ パラゴン@USCPA→海外で独立に挑戦中

一年経過編はこちら↓↓

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